豚すくりーみんぐ。

意識低い系ダメ人間を極めるブログ。

ギター配線: 2Hオートタップ配線。

筆者は長年ジャンクギター弄りをやってきたのですが、所謂(原型を留めない)魔改造系や、複雑な配線パターンを組んで楽しむタイプではありません。
元々、数学や物理、工業系が苦手なので、用いる配線のレパートリーは少ないのです。
その中でも、今回は筆者が知っている最も複雑な配線を紹介しようと思います。

それが、2H(要4芯)構成によるオートタップ配線なのです。
この配線は実戦的で、「DTM用に1本でサウンドバリエーションが豊富なギターが欲しい!」と言った要望にも応えられると思いますよ。

目次

  1. 2Hオートタップ配線
    1. 3wayレバースイッチによる基本形
    2. On-On-On 12pinトグルスイッチによる卓上論
  2. おわりに

2Hオートタップ配線

はじめに、レバースイッチやトグルスイッチ等の動作や、初歩的な配線の知識がある事を前提で話を進めます。

4芯ハムバッカーのコイルタップについては、一般的にOn-Onトグルスイッチ、もしくはスイッチ付きPOTを利用して実装します。
2H構成で3wayスイッチ(レバーorトグル)とコイルタップスイッチの組み合わせだと、合計6種類の音を出せる訳です。

しかしながら、ハムバッカー同士のミックスはあまり使われている印象が無いし、フロントやリアのコイルタップは単発だとノイズキャンセルが効かない。
それなら、フロントとリアはハムバッカーで、センター時はコイルタップ状態でミックス(ノイズキャンセル)、この3種類で事足りるのではないか?
そんな配線が2Hオートタップ、なのですね。

では、実際の例を見ていきましょう。

3wayレバースイッチによる基本形

2Hのオートタップ配線は、6pinのOn-On-Onトグルスイッチのみでは実装できません。
原則3wayレバースイッチを使用します。



今回の例では、Seymour Duncan社のハムバッカー(59 ModelやJazz Model等)の利用を前提としています(DiMaezio等、他社の場合は配線を置き換えて下さい)。
Seymour Duncan社のハムバッカー(シングルサイズハムを含む)のシリーズ接続は、黒=HOT / 緑=COLD / 赤+白(結線)、もしくは、赤=HOT / 白=COLD / 黒+緑(結線)、の2パターンがあります。
コイルタップを行う場合、赤白(結線)、黒緑(結線)、をタップ線として利用します。
もし、フロントを黒=HOTのパターンにした場合、リアの方は赤=HOTのパターンにして下さい(コイルタップ時にノイズキャンセル効果を得る為)。
その逆でも構いません。

Seymour Duncanのハムバッカーは、(パーツも腑分けする)知人によると、コイル1がノンアジャスト側、コイル2がアジャスト側らしいです。
例えばフロント=SH-2n、リア=TB-59(SH-1b)、を用いて以下のように配線した場合、センター時は「リアのノンアジャスト側コイル+フロントのアジャスト側コイル」の組み合わせになるでしょう。

3wayレバースイッチによる2Hオートタップ配線の例。

もし、59/Custom Hybridのように異なるコイルを組み合わせた製品を使う場合、どちら側のコイルを活かすか迷うかもしれないですね…。

ちなみに、3wayレバースイッチを使用する場合、端子の選び方はもう1パターンありますが…、とりあえずこの方法を覚えておけば問題ないでしょう。

On-On-On 12pinトグルスイッチによる卓上論

2Hレイアウトの既製品ギターは、3wayレバースイッチではなく、On-On-On のトグルスイッチ(Gibsonタイプを含む)を採用している例も多々あります。
このタイプのギターのコイルタップは、トーンやボリュームにスイッチ付きポットを採用し、Push-Pullなどで切り替えるスタイルが多いでしょう。
しかしながら筆者は、余計なサウンドバリエーションを減らし、トグルスイッチで2Hオートタップ配線を実装できないものか?
と興味が湧いてスイッチを探す事にしたのです。

半分諦めかけていたのですが、On-On-On 12pinトグルスイッチと言う面白いものを見つけました。



一応、動作は確認していないのですが、6pinのスイッチを2つ同時に動かすイメージかな?と思いますね。

12Pin On-On-Onトグルスイッチの動作(予想)。

おそらく、こんな感じ(予想)。
これなら、もしかして!っと閃いて、紙とボールペンを手にしたのです。
その内容を整理した図も、Windowsペイントで大雑把に書いた物で申し訳ないですが…。
(ピックアップの線も簡略化しています)。

On-On-On 12Pinトグルスイッチによる2Hオートタップ配線(卓上論)。

考え方としては、片側の6pinで2つのハムバッカーをOn-Off-Onにする感じ(On時はタップ線を切り離す)。
そして、タップ線2つはもう片側の6pinに配置し、スイッチが真ん中の時だけ接続(この際各ハムバッカーのHOTを切り離す)する。
卓上論ですが、コレでいけると思います。

それでは、今から試すのか?と問われると…、やらんでしょうね。
このスイッチ、とても高価だし、何より手元に実験用で使えるジャンク竿が無いんです…。


おわりに

さて、今回は面倒な図をマウス描きしたり、少ない脳みそで12pinスイッチの配線考えたり…、結構疲れました。
でも、定期的に普段やらないような事にアタマを使い、刺激を与える事で認知症予防効果があるんじゃないかな?とも思うのです。

最後に、ジャンクギター弄りは冥府魔道です。
職人系の器用な人は「安価に理想的ギターを手に入れる手段」として利用していますが、筆者のようなレベルだと、逆に状態を悪化させる事が珍しくないです。
気付いたら下地の竿やパーツを買い漁って散財を繰り返し、その額はオーダーメイドのギターが射程に入る程だった…。
そんな残念な例が筆者でございます…。